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Kritaのカーソル形状はどれが一番?

David RevoyさんによるKritaのカーソル形状の設定についてのチュートリアルの翻訳です。

元記事(CC-BY)はこちら:

www.davidrevoy.com

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Kritaのカーソル形状はどれが一番?

はじめに

Kritaでアートワークを作成する場合、ある小さいものに何時間も視線が集中することになります: カーソルです。カーソルは「デジタルペン」の先端を表していて、この先端からアートワークを作り出すブラシストロークが生まれます。そのためこの部分はどのデジタルペイントソフトウェアにおいても、多くのユーザにとって非常に重要なのです。長年にわたって、Kritaの開発チームは数多くのプリセットと、カーソルのバリエーションを追加してきました。とはいえ、どんなKritaのカーソルが一番なのでしょうか?他のカーソルを選ぶ理由はなんでしょうか?利点は?欠点は?...この記事ではKrita 3.x系をベースに、この重要な機能についてのアドバイスとフィードバックを共有し、ブラシカーソル全体についてのレビューを行いたいと思います。野心的な記事なのです!

設定

Kritaの設定ウィンドウのカーソルパネルはとても重要です。設定を開いたとき(メニューバー : 設定 > Kritaの設定を変更)に最初にこのパネルが表示されるのも偶然ではありません。ここではカーソルの2つの側面についての設定が用意されています。カーソルの形状ブラシ輪郭の表示です。カーソルの形状のオプションでは、実際のカーソル形状をプリセットから選択できます。デフォルトではカーソルなしに設定されていますが、他の9個の形状を選択することもできます。カーソル形状はキャンバスのポインタ位置(x,y)に表示される白黒の固定画像です。この固定画像はKritaのソースコードで設定されていて、krita/data/cursorsフォルダの*.xpm画像です。次のブラシ輪郭の表示はもう少し複雑なオプションになります。選択したブラシの形状、種類、サイズについての動的なフィードバックを(x,y)位置の周りに表示するものです。デフォルトではブラシ輪郭をその形状で表示に設定されていますが、他にも4個の設定があります。最後のチェックボックスブラシ輪郭を描画中(タブレットスタイラスが触れている時)に表示するかどうかを設定するものです。デフォルトでこれはオンになっていて常に表示を行います。

英語版設定:

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日本語設定:

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すべての設定の組み合わせ:

この2つの設定を組み合わせると、36の設定が可能です。組み合わせを表にしてみたので、どんな感じがわかるのではないかと思います。私の動画やスクリーンショットをよく見ている人は、主に2つの組み合わせを用途によって使い分けていることに気が付いたかもしれません。表でその二つを緑でハイライトしました。

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その1: ペインティング向け設定(カーソルなし+ブラシ輪郭をその形状で表示)

ペインティング(色塗り、スピードペイント含む)では、私はデフォルトの設定を使っています。カーソルなし+ブラシ輪郭をその形状で表示です。これがデフォルトなのにも理由があります。多くの場合ではこれが機能するからです。下に私がペイントする際のデモ動画を用意しました。選択したブラシにあわせてカーソルが変化します。どのブラシを選択していて、どのサイズなのかがわかるのは常に便利です。特徴的なアウトラインの質感つきブラシと、大きなエアブラシを見間違えることはありません。ブラシ輪郭の色は画像の色にあわせて変化します。白い背景の上にある場合は輪郭は暗く、暗い背景では明るい色になります。背景色とのコントラストをつけるために色味も赤、青、ピンクなどに変化します。例: 帽子の先端ではブラシ輪郭が赤色に近づいています。

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ブラシ輪郭をその形状で表示はほぼすべての場合で有効な選択です。傾きの輪郭に比べてはるかによいフィードバックを提供しています。円の場合は、選択したブラシの最大半径を表示し、傾きの場合は、タブレットが傾きをサポートしている場合に傾きの向きを表示するラインを追加するだけです。ただ、ブラシ輪郭をその形状で表示は、何年もKritaを使ってきて一番のお気に入りではありますが、理想とは離れています。どうして別の設定も使っているのかということを説明するために、このオプションの欠点を紹介します。

ブラシ輪郭をその形状で表示の欠点:

1. エイリアスとノイズ。回転センサを使っているプリセットでよく見られる現象です。カーソルがキャンバス上を動くときに、エイリアスのかかったピクセルが動き回ります。作品に集中するのが難しくなります。

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2. 最大幅のフィードバックでの奇妙な挙動。Kritaはアクティブなブラシプリセットのセンサ入力にあわせて輪郭サイズを変化させます。Mypaintといったソフトウェア(動画を見た様子ではClip Paint Studioも)はこうしたダイナミックなフィードバックは行わないようにしているようです。私としては常に最大半径が常に表示されていて最大幅がわかるほうがよいと思っています。例えば常に最大サイズが表示されているほうがオレンジの端を塗ろうとする場合に役立ちます。

Krita

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MyPaint

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3. 正確性が足りない。このブラシ輪郭をその形状で表示ではブラシの中心位置は表示されません。この問題は小さいカーソルをオーバーレイする設定で解決可能で、詳細を塗る場合は私もそうしています。カーソルの形状小型の円にすることも可能です。ただ、これは3x3ピクセルで少し大きいです。これは白い背景でも黒い背景でも機能します。別のオプションは黒ドット白ドットです。これらは効率的です。中心にピクセルが1つ表示されることでストロークの最初の位置を狙う際に本当に役立ちます。残念ながらこのカーソルは背景色によって色が変化しないので、切り替える必要が多く出てきます。

ブラシ輪郭をその形状で表示+黒ドット

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4.輪郭のちらつき。輪郭サイズがダイナミックに変化する副作用です。カーソルは最大幅と最小幅の間は切り替わって、ちらつく、点滅するような感じになります。

Krita

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Mypaint、ちらつきが起こらない

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 その2: ドローイング向け設定(右利き用三角形+輪郭なし)

 ブラシ輪郭によるちらつきと正確性の問題を回避するために、輪郭なしの、三角形(右利き用)の設定も使用しています。ドローイング(線画)の時に鋭い先端を提供します。(左利き版も用意されています)鋭い鉛筆の先のような感じがあるので、ちらつきの影響を受けずにクロスハッチも手早く行うことができます。見た目のデモは以下です。

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 カーソル形状だけを使用する欠点は明確でしょう。ブラシプリセットを変えたときにフィードバックがありません(たとえば、線画をかいている時に消しゴムに切り替えたときや、スケッチを調整するために大きな変形ブラシに切り替えたときなどです)。ですが、Shiftを押すとKritaはブラシ半径サイズを表示するので確かめることができます。(ブラシサイズ変更のショートカットです)

また、カーソル形状の方が輪郭表示よりパフォーマンスが高いです。輪郭には表示位置の遅れがあっても、カーソルでは実際の位置を知ることができます。下のアニメーションでラグを確認できます。カーソル形状は常にリアルタイムで更新されていますが、輪郭は遅れています。スケッチの際、クロスハッチ、小さい詳細を書き込む際にはこの遅れも決断に影響します。輪郭表示は常に数秒遅れるのです…大きいブラシで描画する際には悪くないのですが、細い詳細を書き込んだり、線画をするときにはダメです。これが正確性と精密性についての私のちょっとした秘密で、これを紹介するのがこのチュートリアルの目的なのです。

カーソル形状の方が輪郭より早く正確です。

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 結論

Kritaの開発チームのおかげて、さまざまな使用場面に合わせた設定を使うことができます!設定がいろいろ可能なので、状況に合わせた回避方法も選ぶことができます。この記事を見て、カーソルのオプションの変更を試して楽しんでほしいと思います。どんな選択が可能か迷っているユーザの助けになれば幸いです。この記事を気に入った、フィードバックがある、お気に入りの設定をシェアしたい、という人はコメント(訳注:元記事のコメント欄)で知らせてください!