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David Revoyさんのウェブコミックメイキング最新版:「エピソード22 投票システムのメイキング」その1 ストーリーボードから鉛筆での清書まで

David RevoyさんがKritaメインで製作しているウェブコミック、ペッパー&キャロットの、最新エピソードのメイキング情報が公開されています!(ライセンス:CC-BY David Revoy)

www.davidrevoy.com

盛りだくさんの内容なので数回にわけて翻訳して紹介します。鉛筆でのラフからデジタルの塗りと仕上げまですべてカバーしています。その1ではアナログ作業メインです。

以下翻訳です。

 

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一枚でわかるワークフロー

この記事はペッパー&キャロットのエピソード22「投票システム」を描いた時の全工程を説明するものです。うまくいったものも、うまくいかなかったことも含めて学んだことを説明します。この製作では昔ながらの鉛筆書きの工程に注力し、はじめてエピソード全体でcolorize[smart-coloring]Gmicフィルタを使用しました。画像とコメントの多くは既にPatreonでのサポーターに公開したものです。エピソードがリリースされたので、この記事を一般にも公開しました。

1. ストーリーボード

薄くて安いA4の80gr/m2紙に、インクジェットプリンタで自分のデジタルコミックページと同じ比率で、実際のコミック本と同じサイズの枠を薄い黒で印刷しました。パネルに関してはWYSIWYG(見たままの結果)になるように作業したいと思っていました。ここでの道具は柔らかい普通の2B鉛筆で先端も丸く、筆圧はあまりかけていません。部分を移動させるために消しゴムを多用しました。時にはパネル全体やキャラクタの表情全体にも使いました。簡単に変更できる柔軟さを持つストーリーボードが存在することは、読み直してストーリーの調整を行う上で素晴らしいことでした。また家に来た友人からコンピュータの前でなくてもそのままストーリーボードを読んでもらってフィードバックをもらえることも便利でした。ただ、これはオンラインの協力者にシェアする上では簡単ではありませんでした。垂直方向に長いパネルは紙の上では読みやすくても画面上では少し読むのが難しくなります。次のエピソードでは再びデジタルでのストーリーボードも試して、両方のいいところを使えるようにしたいと思います。

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ページ7,4,2のストーリーボード

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トーリーボード外、パネルのブレインストームのためのボールペンスケッチ、左からコリアンダーカモミール、シチミ

2. ブルーラフ

新しいスムーズな紙(クレールフォンテーヌ205g/m² "Fiches Bristol" A4)に薄い青でA4全体を使うための枠を印刷して準備したものに、太めの青い色鉛筆(ファーバーカステルのポリクロモス、ライトフタロブルー)でパネルのをスケッチをしました。ジェスチャと、構図、メインの線に注意したスケッチです。それから次のパスとしてペンテル0.5mm青シャープペンシルで詳細を描き込みます。この青鉛筆は通常の鉛筆より消すのが難しいです。絵の準備ができたら、練り消しゴムで全体を薄くします。薄く、でも見える状態です。この工程はうまくいき、私はここでの結果と生産性に満足しました。

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ページ5、ストーリーボード(左)とブルーラフ(右)

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ブルースケッチのスキャン(第一パス)

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ページ8の2番めのパスの途中

3. 鉛筆による清書

薄い青いドローイングを鉛筆で清書します。3HからHBの硬い-中くらいの鉛筆(ステッドラーマルスルモグラフ)を使いました。ブルーラフは既に詳細まで描き込まれて過ぎていたのでただ清書するような気分になりました。線自体の質に注力するようになり、無意識の内に結果はほぼ「ペン入れ」のようになりました。シャープな線がほしくて、紙に筆圧をかけました。これはよくありませんでした。絵が硬くなりすぎ、手も痛くなり、結局10日もこの工程にかかってしまいました。最後には、H鉛筆をメインに使って細く正確な線を目指しました。特別な鉛筆削り「クム ロングポイント」を使って、結果として完璧に長く尖った鉛筆を得られたものの、鉛筆の消費が早くなりました。1日に10回も削っていたのです。4本のH鉛筆を使ったのですが短くなりました。まだ補助軸を使えば使えそうでした。製作中にDerwentの黒い金属の補助軸を買って、数センチの鉛筆に試してみたのですがダメでした。補助軸のグリップ部分に小さな金属の突起があり指が痛くなってしまったのです。短くなった鉛筆を使うためのテクニックはさらに探したいと思います。

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ページ7清書中

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最初のページの清書

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ブルーラフ&マネキン→ドローイング→線幅調整→背景

(続く)