Kritaでぐるぐるお絵かきブログ

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David Revoyさんのウェブコミックメイキング最新版:「エピソード22 投票システムのメイキング」その2 スキャンと翻訳向け準備、G'micを使った色塗り準備

David Revoyさんのウェブコミックメイキング翻訳その2です。その1で作ったアナログ絵のスキャンから色塗り準備までの話です。

その1はこちら:

sp-cute.hatenablog.com

 4. スキャンとクリンアップ

3月に新しく買ったCanonScan Lide220を使ってページを600dpi、sRGBでスキャンしました。ArgyllCMSとColoraid.deからのR110112カラーターゲットで色修正を行いました。GUIつきのスキャンアプリはカラープロファイルで問題があったので、自分で作ったちょっとしたbashコマンドラインスクリプトでページスキャンを実行しました。

ページをスキャンした後には、Krita内で以前のチュートリアルと同じテクニック(訳注:同様の内容の日本語はこちら)で明るい青の線をクリンアップしました。また必要な部分に関しては移動と変形を行い、ゴミを取り除きました。そして白背景にグレースケールの画像がクリンアップされて完成しました。

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Kritaでクリンアップした最初のパネル。新しいスキャナだったので正しい設定を見つけるまで時間がかかりました。

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温かいグレーのテクスチャの上にのせたクリンアップされたページ、枠のない白フレーム内に配置

5. 翻訳システム向けのページのマージ

ペッパー&キャロットのセットアップは複雑で、翻訳システムで使えるように、正確なスタンダードとフォーマットでセットアップする必要があります。ページを縮小して最終ページ向けテンプレートのKritaファイルに挿入し、ベクターで白い四角とパネルを描きます。白い枠なしパネルとフキダシの作業を白背景の上でするのは不可能なので、アートの上に乗算で温かいグレーのテクスチャを乗算で重ねて、白背景での位置調節が見えるようにしています。

それから外部のSVGファイルとリンクをして、テキストレイヤーを作ってストーリーボードのメモを見ながらレタリング作業をします。KritaとInkscapeを何度も往復し、両方のバージョンが同期できるように位置や大きさを調整します。

これは面倒な作業なので将来のKritaがSVGと互換性のあるベクターレイヤーとテキストレイヤーをサポートしたらスキップできるようになるといいと思っています。そうすればアートワーク上のテキストを作ってそのレイヤーだけをSVGで出力すれば翻訳システムに統合できるはずです。

とにかく、グレースケールのページが修正者や翻訳者向けの最初のGitコミットとして上げられます。それから数週間の間このバージョンのエピソード22に対する作業が行われます。(訳注:ペッパー&キャロットの翻訳作業は、Gitからグレースケール版のSVGファイルを入手してInkscapeで行っています。翻訳をコミットすると、DavidさんがSVGファイルの吹き出しやテキストを合成して各言語版の画像を生成します)

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テキストや擬音はInkscapeで作成されます。すべての文字はベクターオブジェクトで、変更が可能です。こうしてコミックの翻訳が可能になります。

6. 色塗り準備

裏で翻訳と修正のコミュニティでの作業が行われている間に、私はアートワークの色塗り作業を続けます。パネルの色を反転して黒にします。灰色のテクスチャは削除して、すべてのマージした結果をGIMPに持っていきます。

GIMPにはKritaより新しいバージョンのG'Micプラグインがあり、Colorize(Smart coloring)フィルタを使うにはこの新しいバージョンが必要です。幸運なことに、Kritaですべてを選択して、線画をコピーして、GIMPに新しいドキュメントとして貼り付けるのは簡単です。

G'MicのColorize(Smart coloring)フィルタは領域を自動検出してランダムな色で塗りつぶします。また完全には閉じていない領域も自動的に閉じたものとして塗りつぶします。このフィルタを適用すると結果は2つのレイヤーとして出力されます。変更されていない線画のレイヤーと、その下のエイリアスされたカラーマップのレイヤーです。私はカラーマップのレイヤーだけを選択して、GIMPからKritaにコピーして持ち帰ります。

それから、エイリアスされたツール(私のブラシキットのプリセットに含まれています)と塗りつぶしツール(そしてアンチエイリアスオプションをオフにした選択ツール)でカラーマップのクリンアップと置き換えを行います。9色の簡単なパレットを用意しました。(肌には明るい桃色、髪はスイカピンク、青系を服と持ち物、緑三色は背景、黄色は特殊効果)この9色で塗り分けることで後で「色で」選択するのが楽になります。マジックワンド選択で「髪だけ」「服だけ」や背景だけの選択ができるようになります。

Colorize(Smart coloring)フィルタは作業を高速化しますが、問題をすべて自動で解決できるわけではありません。まだまだ手動でのクリンアップが多く必要ですが、0からやるよりは遥かに少ない作業と思います。カラーマップ作業が終わると、キャラクタ、背景、特殊効果、空を選択してそれぞれを別レイヤーに分割します。

9色のカラーマップを作るのには時間がかかりましたが、最終的にはあまり使われませんでした。9色カラーマップの工程はスキップし、G’Micのランダム色を、直接次の工程のベタ塗りの色で置き換える形の方がよいかもしれません。

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お気に入りの設定を読み込んだG'Mic2.0、スマートからリングフィルタ、ビューポートにはプレビューが表示されています

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適用後、GIMPでの出力2レイヤー表示

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G'Micフィルタの成功結果。何も指定していないのにほぼ手のひらの平面を塗り分けているようです。--黒魔術-- ;-)

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ランダムカラーマップ結果をKritaに読み込みました。ここから塗りつぶしツールを使います

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ページクリンアップで使用した9色

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9色だけを使ったクリンアップ済みページ(肌、髪、服に2色、背景など…)

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コミックページのKritaファイルをPCManFMでサムネイル表示した概要

(続く)